(゚∀゚) . 。o O(今日はそうめんについて書く

ジャンルは特に決めずに自由気ままにやっていく

王子とツバメの流星群 - 最後の王子のわがまま その1

【プロローグ】

「ねえ六花」
 「なにマナ?」
 

私は…
 

「………」
 「?どうしたのよマナ」

 

私はこの気持ちを…

 

「ねえ六花、私ね…」
 「うん」

 

六花に…

 

「私六花が…六花と」

 

この気持ちを
 好きっていう感情を
 六花に…

 

【1】

「二階堂君話って?」
 「………」

 トランプ王国も救い出しプリキュアとしての戦いも終わった。
 そして私達は一つ年を取り現在は中学3年生になった。

 ありすは高校は海外の方に行くと言っていた。
 時期社長として色々勉強するためとのことだった。
 まこぴーはアイドル活動に専念するために高校は通信制を選ぶみたい。

 私と六花は高校受験のために毎日勉強の日々。
 生徒会も引退し、生徒会長の座は純君が座ることとなった。
 六花はもう既にどの高校に行くかは決まっている。
 医者となるためにレベルの高い高校へ行くために頑張ってる。

 私は…まだどこに行くのか決まっていない。
 総理大臣になるためなら六花と同じようにレベルの高い高校に行くべきなんだろうけど…
 まだ決断出来ない。

 そんなある日私は二階堂君に話があるって呼び出された。

 「マナはもうどこの高校に行くかは決めたのか?」
 「ううん、まだ迷ってるんだ。幾つかは候補は絞ってはいるけどね。二階堂君はもう決めたの?」
 「俺は家から近いとこ行く。俺の頭じゃレベル高いとこなんて無理だし」
 「そっか。でも最初から諦めてもダメじゃないかな。ちゃんと勉強すれば二階堂君だってもっと」

 最初からか。
 どことなく自分でも違和感がある。
 なんでかは分からないけど…

 「最初から…そうだよな」
 「二階堂君?」
 「あのさマナ」
 「なに?」

 二階堂君は真剣な顔だった。
 なんだろう?なにか大事な話なのかな?

 「化物がが襲ってきてプリキュアが…マナ達が戦ってたあのときさ」
 「うん」
 「俺悔しかった」
 「え?」

 あのとき、キングジコチューが私達の世界に現れて、私達はそれを止めようとした。
 なんか色々あって結果的にプリキュアの正体を明かしちゃったんだよね。
 でもそれが結果的にみんなが応援するきっかけにもなったと思う。
 街のみんなの心がひとつに。

 「あのときなにも出来なくて応援することしか出来なかった自分がすごく悔しかった」
 「でもみんなの、二階堂君の応援があったから私もみんなも頑張ることが出来たんだよ」
 「それでも!…だから、マナ」
 「二階堂君?」
 「………好きだ」
 「え?」
 「俺…マナのことが好きだ」
 「っ!?」

 二階堂君から突然の告白に私はびっくりしてしまう。
 二階堂君が…私を?

 「ずっと…小学校のときからずっとマナが好きだった」
 「ま、待って二階堂君」
 「今度は俺がマナを守りたい。守られる側から守る側になりたい」
 「に、二階堂君…えっと」
 「今すぐ返事しなくてもいい。でもさ、その…もしOKなら…俺と一緒の高校に行ってほしい」
 「………」
 「マナがレベルの高い高校行くんなら頑張って勉強して俺も一緒の高校に行く…からさ」

 そう言って二階堂君は言ってしまった。
 私はしばらく立ったまま呆然として…



 「………」
 「マナ」

 今でもなんか信じられなかった。
 二階堂君が私のことを好きだったなんて…

 「マナ?」

 二階堂君を嫌いってわけじゃないけど。
 それに小学生からの付き合いなんだし六花やありすとはまた別の幼なじみみたいな…

 「ねえマナってば」

 今すぐじゃなくてもいいとは言ってたけどやっぱり待たせるのもダメだろうし…どうしたら

 「マナ!」
 「え!?どうしたの六花」
 「どうしたのはこっちの方よ。さっきからずっと呼んでるんだけど」

 そう言って六花は少し怒ってた。
 そうだった。
 今は六花の部屋で勉強してるんだった。

 「ごめんごめん、ちょっと考え事しててさ。どうかした?」
 「さっきからマナがぼーっとしてるからどうかしたのか気になってね。考え事って?」
 「えっと…」

 先日二階堂君に告白されました。
 なんて言ってしまっていいのか分からない。
 六花に相談するべきなのか…いや、さすがにこれは私で考えないとダメ…だよね。
 そう思ったけどなんとなく自分に嘘を付いてる。
 なんでか私は六花に相談したらダメだと思った。
 自分で考えたらダメとかそういうのではなく、六花に知られたくない…そんな感じで。

 「別に大したことじゃないよ。その…高校どこに行こうってね」
 「………はぁ。マナまだ決めてないの?」
 「あはは…」

 話を合わせてくれたけどなんでかな?
 六花はなんか…嘘付いたこと気づいてるような…
 昔から六花は私の嘘を見抜くのが上手い。
 でも今はちゃんと話を合わせてくれてる。
 助かった…のかな?

 「別にまだ時間はあるからいいけど早く決めなさいよ。行く高校に合わせた勉強しないとだめなんだから」
 「うん。わかってるよ」

 そうして私と六花はまた勉強に戻る。
 こうやって六花と一緒にいるのももしかしたら…

 なんでかは分からないけどこの先は想像したくなかった。

 

【2】

二階堂君の告白以降ある程度の時間は経ったけど特に私と二階堂君の間に変化はない。
 私はまだ返事に困っていて二階堂君はそれを待っている。

 別に嫌という気持ちはない。
 最初は困惑もしたけど嬉しかった。
 でもどうしたらいいのかは分からない。
 好きって…どういう感情なのかな。
 二階堂君は好きだ。
 でも、二階堂君を恋愛という意味で好きかは分からない。
 それにまだ高校だって決めていない。
 そうやって私は悩みながら時間が過ぎていった。



 「マナ、今年はどうするの?」
 「無論!いつのも場所で見ようよ!」

 今年も流星群の季節がやってきた。
 毎年の恒例みたいに私と六花は流星群がよく見える丘で流星群を見る約束をする。
 去年はみんなと一緒に見たけど今年は予定が合わずに私と六花だけだ。

 「なんか久しぶりだね。六花と二人きりで流星群見るのって」
 「そう言えばそうかもね。でもやっぱりみんなで見たかったかな」

 みんなと一緒にか…
 それも楽しいに決まってる。
 でも、六花と二人きりで見るのもいいと思えた。
 だから少しだけ…嬉しいって思う自分がいた。

 「ねえマナ」
 「ん?」
 「そろそろ高校どこにするか決めた?」
 「うっ…まだです」
 「時間あるって言っても無限じゃないんだからね早く決めなさいよ」
 「あはは…分かってるよ六花」

 いつも通りの六花と一緒に通うこの通学路。
 来年はこの通学路を通うことはなく。
 それにもしかしたら六花と一緒に通うことも…

 「候補はもう絞ってはいるんだけどさ…」
 「まあ決められないなら直感に頼るのもいいかもね」
 「直感か…ねえ六花?」
 「なに?」
 「…あのさ、答えが分からないときってどうしたらいいのかな」
 「答え?」

 同時に悩んでることも六花に相談しようと思った。
 ちゃんと二階堂君に告白されたことは伏せておく。
 六花のためにというよりは自分のために…なんでかは分からないけどそう思ったから。

 「嫌ではないし嬉しいんだけど、でもほんとにそれでいいのかとか…」
 「そうね…自分がどうしたいのか。そんな自分に素直になるとか?」
 「素直に?」
 「素直にマナがどう思ったのか。それを答えにすればいいんじゃないかな」

 私がどう思ったのか。
 あのときどう思ったか。
 びっくりもしたけど…嬉しかった。
 じゃあ…それが答えなのかな?

 「ありがとね六花」
 「うん。相談事あるならちゃんと乗るからね。変に悩むのはマナらしくないし」
 「うっ…さりげなくひどくない?」
 「そんなことありません」

 そうして私と六花は通学路を歩いて行った。



 「ごめん待ってたマナ?」
 「ううん。私もさっき着いた所だよ」

 流星群の丘で待ち合わせた私と六花。
 別に家が近いんだから一緒に行けばいいのにって思ったけどなんとなく現地で待ち合わせの方が良かった。
 それは六花も同じみたいだったしね。

 「なんだか変わらないねここも」
 「うん。昔からまったく変わってない…」

 一緒に寝転びながら流星群が来る瞬間を待ってる。
 それはずっと前から同じで。
 まるで私と六花みたいに同じ。
 変わらない…私と六花。
 昔も今も…きっとこれからも。

 「六花」
 「なに?」
 「私ね、高校どこにするか決めたよ」
 「…そう」
 「六花と一緒のとこ受ける」
 「え?」

 あのとき。
 六花が言ってくれた直感。
 私は直感で六花と一緒の高校に行こうと思った。
 だから六花と同じ所に。

 「私六花と一緒の高校に行く。直感で決めたよ!」
 「…そっか」
 「あれ?驚かないの?」
 「結構驚いてるけど…でもなんだかマナならそう言うような気もしてたしね」
 「そうなの?」
 「それに…」
 「それに?」
 「…なんでもない」

 六花はそう言って黙る。
 そうして私も六花も黙った。
 でも六花は隣にいてくれる。
 それは目を閉じてても分かる。

 「もし受かったらまた一緒だね」
 「ちゃんと勉強しなさいよ」
 「期待してますよ六花様~」
 「はいはい」

 一緒。
 高校に進学しても私と六花は一緒だ。
 一緒に学校まで行って、一緒に授業は…無理かもしれないけど、それでもお昼とかは一緒に食べて、一緒に帰宅して…一緒。

 私はそうやって言い訳をしていたのかもしれない。
 私の中でこの先のことを無理矢理考えないように。
 私と六花はずっと一緒なんだって…きっとこれからも…ずっと。



 「ごめんなさい!」
 「………」

 後日私は二階堂君を呼んだ。
 告白の返事に答えるために。

 「二階堂君が私のこと好きだって言ってくれたのは嬉しかった。私も二階堂君のこと好きだよ。でも多分…恋とかではないんだと思う」

 素直に嬉しかった。
 でも私と二階堂君が恋人同士っていう部分は想像が出来なかった。
 多分それが答えだと思ったから私は…

 「だから…ごめんなさい」
 「そっか…まあ最初から分かってたしな」
 「え?」

 そう言う二階堂君の表情はなにかすっきりしていて。
 傷つくんじゃ…って心配していたんだけど…

 「マナが最初から断るって言うのは予想してた」
 「そう…なの?」
 「でももしかしたら…っていう期待もあったけどさ。それにこれで吹っ切れたのもあるから。だからさ、その、あまり落ち込むなよ?」
 「うん…」

 そうは言うけど…やっぱり。

 「…なあマナ」
 「なに?」
 「高校はどこに行くかは決めたのか?」
 「…うん。決めたよ」

 あのときの六花の言葉で決めた。
 考えて最初によぎった直感にしたがって。

 「私」
 「別に言わなくてもいいよ。分かってるから」
 「え?」
 「同じところ行くんだろ?」
 「…うん」

 直接六花の名前は出ていないけど、なんでかそう分かった。

 「それも…分かってたの?」
 「まあなんとなくな。お前らずっと一緒だったんだし」
 「…そうだね。多分これからも一緒じゃないかな」
 「これからも…か」
 「二階堂君?」
 「一つだけ忠告なマナ」
 「へ?」

 なにか真剣な表情の二階堂君だ。
 告白する以上になにか…

 「素直になれよ」
 「素直に?」

 素直…それは前にも六花に言われた。
 周りからは素直じゃないって思われてるのかな私って。
 結構素直だと思うんだけど…

 「その様子じゃ今は分かんないだろうけどさ、でも素直にならないと遅くなるぞ」
 「…なにが?」
 「全部」

 そう言って二階堂君は行ってしまった。
 全部って?
 二階堂君が言った意味がよく分からない。

 でも…二階堂君は気づいてたんだと思う。
 私の素直になれない部分に。
 私の…六花に対する私がまだ気づいてない感情に。

 

 

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